スタートアップの事業内容を35秒で伝える方法
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スタートアップの事業内容を35秒で明確に伝えるための構成と実例。投資家、顧客、パートナーに一発で伝わるピッチの作り方。
交流会やピッチイベント、商談の冒頭で、こんな質問をされたことはないでしょうか。
「どんな事業をされているんですか?」
答えは当然わかっています。
何カ月もかけてプロダクトを考え、市場を調べ、機能を作り、ビジネスモデルを練ってきたからです。
ところが、いざ説明を始めると、思っていたより長くなります。
サービスが生まれた背景を話し、技術の特徴を説明し、今後の構想にも触れ、複数の利用者像まで紹介する。ようやく本題に入った頃には、相手が何を聞けばよいのかわからなくなっていることもあります。
「how to explain startup idea」と検索したくなるほど、事業内容を短く説明するのは難しいものです。
ただし、必要なのは、事業を実際以上に大きく見せることではありません。
相手がすぐに理解できる形に整えることです。
そのためには、35秒あれば十分です。
なぜスタートアップの説明は長くなるのか
起業家は、自分のプロダクトを知りすぎています。
なぜこの機能を作ったのか。どんな技術を使っているのか。競合と何が違うのか。今後どの市場に展開するのか。
すべて重要な情報です。
しかし、初めて話を聞く相手が最初に知りたいのは、もっとシンプルなことです。
- 誰のためのサービスなのか
- どんな困りごとを解決するのか
- 使うと何が変わるのか
- 既存の方法と何が違うのか
この4つが早い段階でわかれば、相手は話についてこられます。
反対に、会社の沿革や使用技術、壮大なビジョンから説明を始めると、肝心のサービス像が見えにくくなります。
最初の35秒で、事業のすべてを伝える必要はありません。
相手が「もう少し詳しく聞きたい」と思える状態を作ることが目的です。
35秒で説明するための基本テンプレート
まずは、次の型に当てはめてみてください。
私たちは、[具体的な課題]に悩む[利用者]向けに、[何ができる商品・サービスか]を提供しています。これによって、[得られる結果]を実現できます。一般的な[既存の選択肢]と違い、[最も重要な特徴]に特化しています。
この型は、次の4つの要素でできています。
- 利用者
- 課題
- 商品やサービスがすること
- 得られる結果、または他との違い
順番に見ていきましょう。
1. プロダクトではなく、利用者から始める
最初からサービスのカテゴリーや技術を説明すると、抽象的になりがちです。
例えば、次の説明です。
AIを活用した次世代のコミュニケーションプラットフォームを開発しています。
一見するとスタートアップらしい表現ですが、誰が、どのような場面で使うサービスなのかは伝わりません。
代わりに、利用者から始めます。
面接や交流会で、自分のことを短く説明するのが苦手な人を支援するアプリです。
こちらのほうが、相手は利用場面をすぐに想像できます。
「AI」「プラットフォーム」「SaaS」といったカテゴリーは、必要であれば後から説明できます。最初に伝えるべきなのは、誰のためのサービスなのかです。
2. 課題が起きる場面を具体的にする
「コミュニケーションには課題があります」のような説明では、範囲が広すぎます。
聞き手は、具体的に何に困っているのかをイメージできません。
抽象的な説明
多くの人が、コミュニケーションに難しさを感じています。
具体的な説明
話したい内容はあるのに、自己紹介になると長くなったり、要点が曖昧になったりして、相手の印象に残らない人が少なくありません。
良い課題説明には、実際の場面があります。
例えば、面接の冒頭、名刺交換の直後、異業種交流会、投資家との初回面談などです。
相手が「自分も経験したことがある」「確かにそういう人は多い」と感じられれば、説明の続きを聞いてもらいやすくなります。
3. サービスが実際に何をするのかを話す
スタートアップの説明では、専門用語や抽象的な表現を使いすぎることがあります。
例えば、次のような言葉です。
- AIを活用した次世代プラットフォーム
- 革新的なソリューション
- 業界を変革するサービス
- エンドツーエンドの体験
- データドリブンなエコシステム
これらは聞こえがよい一方で、利用者が何をするサービスなのかは伝わりません。
日常的な言葉に置き換えてみましょう。
質問に答えながら35秒の自己紹介を作り、実際に録音して練習できるアプリです。
この説明なら、利用者がアプリを使っている様子を想像できます。
良い事業説明では、聞き手の頭の中に「誰かがそのサービスを使っている場面」が浮かびます。
4. 最後に、得られる結果か一番の違いを伝える
機能を説明した後は、その結果として何が変わるのかを伝えます。
例えば、次のような説明です。
面接や交流会の前に自己紹介を練習し、より短く、わかりやすく、自信を持って話せるようになります。
また、既存のサービスとの違いを一つ加えてもよいでしょう。
一般的なスピーチ講座とは違い、会話の最初の35秒に使う自己紹介だけに特化しています。
ここで重要なのは、特徴をすべて並べないことです。
機能が10個あっても、最初に伝える違いは一つで構いません。相手にとって最も意味のある違いを選びます。
First35を35秒で説明すると
First35を例にすると、次のように説明できます。
First35は、面接や交流会で自分のことを短く伝えるのが難しい就活生、起業家、ビジネスパーソン向けの自己紹介アプリです。質問に答えながら35秒の自己紹介を作り、録音して練習し、より伝わる形へ整えられます。一般的な話し方のトレーニングではなく、第一印象に関わる会話の最初の35秒に特化しています。
これだけで、利用者、課題、サービスの内容、特徴がわかります。
説明を聞いた相手から、次のような質問が出るかもしれません。
- どのように自己紹介を作るのですか
- 録音した内容は分析されますか
- 就職面接と交流会の両方で使えますか
- なぜ35秒なのですか
こうした質問が出てくるのは、良い反応です。
最初の説明だけで完結させるのではなく、次の会話につながっているからです。
最初の35秒から削るべき情報
スタートアップの説明を短くするときは、何を加えるかより、何を削るかのほうが重要です。
次の情報は、多くの場合、最初の35秒には必要ありません。
- 創業までの詳しい経緯
- 想定しているすべての顧客層
- 技術構成やシステム設計
- 今後追加する予定の機能
- 市場規模の詳しい数字
- 複数の利用シーン
- 業界用語や流行の表現
- 詳細な料金体系
これらは不要なのではなく、伝える順番が後というだけです。
35秒の説明は、ピッチ資料を読み上げる時間ではありません。
相手の頭の中に、事業の基本的なイメージを作る時間です。
相手に合わせて、利用者と課題を一つに絞る
一つのサービスが、複数の利用者に使われることは珍しくありません。
ただし、毎回すべての利用者を説明する必要はありません。
目の前の相手に合わせて、入り口を変えます。
スタートアップイベントで話す場合
自分の事業を短く説明するのが難しい起業家向けに、35秒の自己紹介やピッチを作って練習できるアプリです。
就活イベントやキャリア交流会で話す場合
面接や交流会で自己紹介が長くなってしまう就活生向けに、35秒で伝わる自己紹介を作って練習できるアプリです。
プロダクト自体は変わっていません。
相手が理解しやすい入り口を選んでいるだけです。
これは説明を不正確にすることではありません。相手にとって関連性の高い部分から話し始めるということです。
説明が本当に伝わっているか確認する方法
説明を作ったら、自分の業界に詳しくない人に聞いてもらいましょう。
確認したいのは、次の点です。
- 誰向けのサービスかわかるか
- どんな課題を解決するのかわかるか
- 実際に何ができるサービスか想像できるか
- 他の方法との違いが伝わるか
- 不要な情報を加えすぎていないか
ただし、「今の説明でわかりましたか」と聞くのは、あまり有効ではありません。
日本では、内容が十分に理解できていなくても、「なるほど」「わかりました」と相づちを打つことがあります。
代わりに、こう聞いてみてください。
このサービスを別の人に説明するとしたら、どのように紹介しますか?
相手の答えを聞けば、どこまで正しく伝わったかがわかります。
説明の中で強調したつもりの部分が抜けていた場合は、その部分をもっとわかりやすくする必要があります。
そのまま使えるテンプレート
次の空欄を埋めてみてください。
私たちは、__________に悩む__________向けに、__________を提供しています。これによって、__________できるようになります。一般的な__________と違い、私たちは__________に特化しています。
文章ができたら、必ず声に出して読んでみましょう。
書いた文章としては自然でも、話すと固く聞こえることがあります。
長い文を短くし、普段の会話で使わない言葉を削ります。
例えば、「〜を実現するソリューションです」と書いていた部分は、「〜ができるサービスです」と言い換えられるかもしれません。
完成した説明は、プレスリリースのように聞こえる必要はありません。
あなた自身が、初対面の相手に自然に話せることが大切です。
わかりやすさが、次の会話を生む
スタートアップの説明は、賢そうに聞こえる必要はありません。
まず、理解してもらう必要があります。
35秒の中で伝えるのは、次の4つです。
- 誰のためのサービスか
- どんな課題を解決するのか
- サービスが何をするのか
- どんな結果や違いがあるのか
そこまで伝えたら、一度止まりましょう。
説明を詰め込みすぎず、相手が質問できる余白を残します。
わかりやすい説明は、事業のすべてを語るものではありません。
相手との本当の会話を始めるためのものです。